風立ちぬ
「風立ちぬ」にやられている。(ちょっと今更ながら)火曜日に見たのだけれども、もうそれ以来ずっとそれ。テレビやネットで宮崎駿の話が出てくると、なんか気になっちゃう。
批評なんて書けないけど、なんとなく、すごく個人的な意見で。(ネタバレ若干含む)
この映画は完全にループで、ずーっと同じテーマで2時間やり続ける。「風立ちぬ いざ生きめやも」のループ。結局これって救いを願う、されど来ない、南無阿弥陀仏的なアレなのかな、とも思ったり。哲学者だったら不条理と呼んだりする、生きることの辛さ、現実の不完全さという、誰もが厨二的な思春期をそれこそ中二やら高二やらで経験する気持ち悪くもおそらく正しいあの葛藤をただただループしてる。垂れ流しみたいに。ロリコン受けしそうなマザコン受けしそうな、献身的で全部受け入れてくれるヒロインが登場しては結局薄命で終わってしまったり、自分の作った、自分が大好きなものが人殺しやらこの場合自らも殺してしまったり、いわゆる現実社会は思うように行ったり、行かなかったり、そんなことわかってて、なんにもないことを知ってるのに、生きていかなくてはならないという、もう完全に残念な現実を突きつけるお話です。
しかししかし、残念でない人間なんて存在しないわけで、少なくとも僕の信頼出来ると思える友人や自分自身も含めて、コンプレックスがない人なんていないわけで、おそらくコーカスやらプラグマやら、僕のやってる音楽に興味を持ってくれる人や、音楽的文化的何かに興味のある人は、たいてい残念な人なんだと思ってて。
残念、という言葉がよろしくない。不完全であることを認めている人、それを受け入れてしまったからこそ、考え、色々ありながらも生きてるわけで、だからこそ感受性が(無駄に)高くなって、どうでもいいことで傷ついたり。まあ、現実っていいモノだけが存在しているわけでもなく、完全に正しいものなんて存在しないわけで。
この作品で「風立ちぬ いざ生きめやも」のテーマをループをしたのも、例えば宮崎駿が戦争は嫌いなのに戦闘機が大好きだったり、矛盾に満ちたいわゆるアーティスティック(この言葉苦手)な人であることを象徴するものなのかも。生きることなんてどうせ不安でいっぱいになるし、僕なんてさっきメールしてた大学の友達曰く「根拠のない不安」の塊みたいな人間だったし、すごい「死にたい願望」強かったし。(今はあんまりないです、ご心配なく)
生きることに対して達観的な存在として描かれる二郎をみて、なんだか自分の中にあるタナトスをくすぐるような、病みつきになるような、そういう作品だった。
よくわかんないこと書いたけど、8つも下の草太に「やなさんやばいって。風立ちぬまじやばいって」と先日渋谷Underdeerで午前3時すぎに言われて、ようやく3,4日前に観られて本当に良かったと思います。新宿某映画館でのレイトショーで、ガラガラの特等席で観られて本当によかった。僕は宮崎駿作品がどれもとても好きだけれども、本作が今までで一番かも知れないなー。荒井由実のひこうき雲、改めて最高。
この世は生きるに値しないくらいどうしようもないものだと思うけれども、それと同じくらい生きるに値する奇跡がたまに起こるから、死ぬことを選べないのです。いつかは死んでしまうのだから、それまでは生きてみようかと。風立ちぬ いざ生きめやも。
k
こんなこと言っては何だけど、なんかすごくエヴァっぽかった。現代っぽかったってことなのかな。
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