昔に貝木泥舟に似たような人とであったことがあった。別に詐欺師でもないし、金を巻き上げるようなやつではないけれども、「劣等感と一生向き合うことを決めている、誇り高き偽物」のような人。本当に悪気はなかったのだな、と気づいたのも離れてから2年くらいしてからのことだった。本能的にはわかっていたのかも知れない。だからこそ当時はずっと、許そう許そうともがいていた。今もきっと大して変わらないんだけれども、そんな善良な心が今現在の僕にちゃんと備わっているのかはまったくわからない。30を目前にして厨二病みたいな考え方をしている僕にはどうせ冷静な判断なんてちゃんとついていない。少なくとも当時よりは、自分自身が思ったより偏った人間であることを自負している。だから気をつけてはいる。時々そうも出来ない時もあるけれども、それは人間だから致し方ないことと思っている。偽物語を観ながら、そんなことを思った。

 

インフルエンザになってしまい、会社に行けるような健康状態までは調子を取り戻したものの、現在僕もなお、医者による外出禁止令をくだされたままです。あと3日ほどすれば解放されて、無事、あの海外生活の長い人しかいない、仕事内容はさておき、とても個性的で居心地のよい、自己主張の塊みたいな人たちで構成される愛すべき部署で思う存分罵声を飛ばされると思うと、それはそれで悪くはないのだけれども、しばらく籠もっていると、かつての貝木らしき人を思い出してしまうくらい、当時の生活をリフレインしてしまってしかたがないのです。あの頃は何も出来ずに4畳半(本当)の部屋というか、自宅スタジオというか、音楽機材とマックしかない部屋で、隣の団地で響く子供たちの笑い声とか、雨戸の上んとこにあるちょっとした隙間に住み着く鳩の鳴き声とかを、ずっと籠もって録音してました。楽しかったな。

 

誰も求めていないかもしれないけれども、ソロの曲を12声コーラスを入れて作ってみたり、部屋の空気の音をゲイン最大で録っては逆回転したりして、ノスタルジックな3日間を過ごしました。一曲ちゃんと形になりそう。もうあと3日が終わらなければいいのにと思うくらい、インフルエンザも順調に回復しました。その代償はとても大きくて、Painsのみんなや、SXSWで出会ったWeekendのみんな、NYC Popfestのときに会ったSea Lionsにも挨拶したかったな。欠席してしまったブルスタには突如Neon Indianが遊びに来てDJしてくれたそうで、彼らのライヴにもSXSWの際に遊びにいって、帰りの飛行機でカトーとグローファイっぽい音作ってユニットやろうぜ、とか話してた(音も作ってた)のでした。頑張って海外に行ったときに出会った人たちとこうやって東京で会えるチャンスを逃すのはとても悲しいです。

 

数年というか、10年くらいを総括してしまえば、10代とは比べものにならないくらい、物凄く沢山の人と出会って、物凄く沢山の人と離れて、いっぱい楽しいことをして、いっぱい傷ついて、思春期を16、7くらいからずっと継続したような大人になってしまいました。分別も付いて歳を取ったはずなんだけど、結局何も変わらないなあ、というのがこの3日程の引き籠もり生活の感想です。あと3日、がんばって引き籠もるぞー!(社会復帰できるように、ここは一つノスタルジックに休ませて頂きます)

 

今週末の2/26新宿Motionには出演できそうです(つまり、これだけ隔離すれば感染しない、と医者が言っているということだから、怖くないよ☆)。いっぱい迷惑かけたり心配かけて、ごめんね、みんな。

 

まー、たまには休むのもいいよな、なんて前向きに捕らえてしまう僕は、あの頃とは随分変わったものです。色んな人に迷惑をかけたプレッシャーで、当時だったら全部もう辞めてしまいそうだもん。

 

単なる日記でございました。みなさんもくれぐれ体調にはお気をつけ遊ばせ。チャオ。

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2/26(日)新宿Motion
” Crystal Visions ” presented by Natural Hi-Tech Records
OPEN17:00 /START17:30
adv.2,000/door2,300
goche’(仙台)kanina / nemlino / CAUCUS / GRINCH / Quaker Meeting

 

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